「周易五術」という呼称、一般的には「易経」、または「神秘学」と呼ばれる分野は、古代では「巫術」、学術名称として「術数」と呼ばれます。
これらの分野の大部分は、中国、春秋戦国時代に現れた多くの思想家およびその学派の総称として「諸子百家」とも呼ばれます。学校で習う歴史の授業には、儒家(孔子・孟子)・道家(老子・荘子)・墨家(墨子)・法家(管仲・商鞅)・名家(公孫竜)・兵家(孫子・呉子)・縦横家(蘇秦・張儀)・陰陽家などが出てきますね。また、諸子百家の一つ鬼谷子があり、『史記』によると、鬼谷は縦横家の蘇秦と張儀の師とされ、その教えが民間に流布していったものが、いわゆる「五術」(山、医、命、卜、相)と呼ばれる五種の法術です。
「山」とは入山し修練する「道法」(仙術)、「医」とは病気を治療する「漢方方剤」「民間療法」などです。「命卜相」は「占卜」「命理」「風水」「相法」などであります。
古人は「医道通仙」(医道は仙に通ずる)といい、「仙術」は古代における心身の健康と長生の方法だったわけです。
私達は歴史文献から古代の「方術」及び「易」と「医術」が結合していたのを見出すことができます。つまり、私達は古代の「周易医学」とは自然科学だったと考えることができます。最も著名な中医学古典籍として『黄帝内経』があります。現代西洋医学では、科学技術が発達したことにより、さまざまな新しい治療法が開発されてきました。そして、西洋医学では科学的な根拠を求め、「メカニズムが分からない漢方薬は使えない」と考えていた一昔前とは打って変わって、現代では漢方薬市場が拡大しています。その背景として、なぜ効果があるのかのメカニズムが科学でわかってきたことが挙げられます。私達は、例えば『黄帝内経』に見られる古代人の医術に関する智慧を現代の科学から見つめなおすことができたのです。
古代中国の周の時代に作成された卜術の一つ「周易」は、卜筮(中国古代の占いの方法)であり、吉凶を占うものでした。その後、儒家の孔子、道家の老子の二つの系統を経て「易」は人生哲学となりました。漢代の易学である「漢易」では、「易」が五経のひとつとして国家公認のテキストとなり、「易」は人文、地理、医理(医学上の理論)、仙道、兵法といった東洋社会における自然哲学・自然科学における原理となりました。
ドイツの哲学者・数学者であるライプニッツ(1646~1716年)は、中国の古典『易経』に関心があり、1703年イエズス会宣教師ジョアシャン・ブーヴェから六十四卦を配列した先天図を送られ、二進法の計算術があることを見いだしています。現代におけるコンピューターは全て二進法で処理をしています。「易」は、西洋社会においても自然科学における原理となったと言えるのではないでしょうか。
唐代、宋代において、「五術」(山、医、命、卜、相)に「易理」が融合し、『易経』における新たな応用学術としての系統ができあがりました。今日においては、「易」と「禅」が融合し、東洋的な思惟方法があることを拙著(『霊禅易』)でも紹介しています。
21世紀に入った今、人は新しい思惟方式に適応していますが、この新しい思惟方式とは、私達がコンピューターを使用することをやめられないように、伝統的な思惟方式を捨て去ることはできません。
大事なことは更新していくことであり、超えていくことです。あなたの創造が新たに幸福な人生をサポートします。有限な生命が、最高の運命を創造する。そんな皆様の一助となれる「五術」であり、「風水」であって欲しいと願い、現代において伝統風水の学術として基準を明確に審査し、次の時代に五術文化をつなげていく。それが、私たち風水検定協会の役割であると考えております。
2022年7月13日 壬寅年丁未月丁卯日 鍾進添
中興大学の法学部を卒業後、星元大学にて博士号を取得する。幼少より家学の五術全般を伝承しており、筆名は墨文(ぼくぶん)といい、文学家、五術家として活動を開始する。清朝宮廷の高官であり、光緒帝より「璽(じ)(印章)」を賜った懐仁堂(かいじんどう)における天象学府の司天監(してんらん)(天文官)を務めた国師・劉培中(りゅうばいちゅう)に拜師する。
その後、高芳先(こうほうせん)、朱子珍(しゅしちん)、徐鼎銘(じょていめい)の諸大師について五術における学芸を研鑽する。
天文通書に精通し、仙学、医学、易学、命・卜及び堪輿(かんよ)(風水)と星相などの五術伝統文化の全般に深く精通した台湾における人間国宝的存在。
青年時代より数多くの預言を通じて、国運、経済情勢に携わり、国家機密に及ぶ数多くの実績を残す。
五術の深奥に通じ、中五術教育協会顧問団団長を歴任し、台湾の学習派の代表としてその知名度は国内外に広く馳せる。
著作として、『擇日大鑑(たくじつたいかん)』『堪輿大鑑(かんよたいかん)』『命理大鑑(めいりたいかん)』『相法大鑑(そうほうたいかん)』『命運隨筆(めいうんずいひつ)』『霊禅易占(れいぜんえきせん)』『羅経用法(らけいようほう)』『五術札記(ごじゅつらいき)』…等二十数書を著し、毎年『鐵筆子民暦(てんつびつしみんれき)』などの通書を発行。